#お知らせ
「地域のネイチャーポジティブ活動の手引きVer. 1.0」を公開
東北大学ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(NP拠点)は、参画機関であるアミタホールディングス株式会社と共同で「地域のネイチャーポジティブ活動の手引きVer. 1.0」を公開しました。本手引きは、「ランドスケープアプローチ」という考え方に基づき 、自然の保全・回復と地域の価値創造を同時に目指す個人や組織を支援するための実践ガイドです。
▼ 手引きのダウンロードはこちらから [地域のネイチャーポジティブ活動の手引き Ver.1.0]
手引きの主な特徴と内容
本手引きでは、ネイチャーポジティブ活動を、「課題把握 → 計画 → 実行 → 改善」の4ステップで小さく始め、改善を重ねながら地域戦略に反映していくスパイラルアップ型の進め方を示しています。
特に以下の5つの特徴で、地域の活動を実務的にサポートします :
- 自治体や地域に取り組み基盤がなくても第一歩を踏み出せる構成。
- 実行の意思を持つ組織に対し、着手から推進までを詳細な手順で支援。
- ランドスケープアプローチを軸に、自然・産業・暮らしを統合的に捉えた指針を提示。
- ネイチャーポジティブと地域活性化の好循環を生み出す社会への移行を促進。
- TNFDやLEAPアプローチなどの国際基準との整合性を確保。
小さな組織から地域全体まで、段階的に活動を広げ、地域の方針づくりに反映するプロセスを4章構成で解説しています。地域のステークホルダーが協力し合い、「望ましい自然のあり方」を共有するための共通基盤となることを目指します。
※解説動画はNotebookLMを用いて作成
関係者コメント

NP拠点 拠点長
東北大学大学院 生命科学研究科 統合生態研究室
教授 近藤 倫生
ネイチャーポジティブの実現には、科学・社会・地域が共に問い、考え抜き、答えを育てるプロセスが大事です。唯一の正解があるわけではなく、関係者それぞれの価値観や現場の知恵を尊重しながら、未来に向けた合意を築いていく必要があります。この手引きは「自然と人の関係を編み直す」ための共通言語であり、また、不確実で複雑な社会課題に挑戦する変わりゆく科学のかたちを後押しする一歩でもあります。科学が、情報提供者に留まるのではなく、対話を促し、行動を後押しする力になるべき時代です。私たち科学者もこの手引きを手に、地域・行政・企業とともにネイチャーポジティブの実装に挑んでいきます。

アミタホールディングス株式会社
代表取締役社長 兼 CIOO 末次貴英
私たちは創業以来、資源や価値を無駄なく循環させる「循環」と、誰も置き去りにしない「包摂」の仕組みを軸に、持続可能社会の実現を目指してきました。そして、今回公開した「地域のネイチャーポジティブ活動の手引きVer. 1.0」は、この理念を自然回復の現場で具現化する画期的な取り組みです。
完璧を求めずに小さく始め、立場を超えた対話を重ねながら育てていく。このプロセス自体が、人と人、人と自然のつながりを取り戻す営みになると確信しています。地域から始まる実践が、やがて社会全体の変革につながることを期待しています。
今後の展開とフィードバック募集
本手引きは、富山県・黒部川流域など、NP拠点が活動を展開している地域サイトでの参考テキストとして活用し、より実効性の高い内容へのアップデートを実施する予定です。
手引きをさらに良いものにするため、利用者の方々からのフィードバックを募集しております。
[「地域のネイチャーポジティブ活動の手引きVer. 1.0」ご意見・ご感想受付フォーム]
私たちNP拠点は、これからも多様な方々との連携・共創を通して、ネイチャーポジティブな未来を共に創ってまいります 。
発行日: 2025年11月14日
共同発行: 東北大学 ネイチャーポジティブ 発展社会実現拠点、アミタホールディングス株式会社
本手引きは利用者の責任において自由に利用・改変および再配布できますが、改変・再配布する際は出典を明示し、本条文を併せて記載のうえ、事前に原作成者へご連絡ください。
© 2025 東北大学 ネイチャーポジティブ 発展社会実現拠点
© 2025 Nature Positive Sustainable Development Hub